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東京高等裁判所 昭和58年(ネ)1498号 判決 1985年10月09日

控訴人

正宗幹夫

右訴訟代理人

土生照子

被控訴人

府中市

右代表者市長

吉野和男

右訴訟代理人

鹿島恒雄

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

原判決を取り消す。

被控訴人は控訴人に対し、三〇九万二五二五円及びこれに対する昭和五四年一〇月一九日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

控訴棄却の判決

第二当事者双方の主張及び証拠関係

次のとおり付加するほかは、原判決事実摘示及び当審記録中の書証目録、証人等目録の記載と同一であるから、これを引用する。

一  原判決一〇枚目表六行目の次に行を改め、次のとおり加える。

3なお、当時、被控訴人は、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事などの目的で発掘しようとする者が法五七条の二第一項の届出に必要な書類を準備中であるとき、あるいは試掘の結果によつては工事を中止、変更する考えがあるときなどには、工事事業者の便宜のための特別の扱いとして、発掘届出前に、市教育委員会職員立会いの下に事業者側において当該工事予定地内の一部を掘削して遺構又は遺物の有無を確認し、発掘調査(本調査)の要否及び発掘調査の必要の程度を判断するための試掘調査(発掘調査よりも費用が安く、待ち時間も短い。)を実施することを認めていたので、府中市教育委員会保谷課長は、昭和五三年二月一〇日(又は六日)、控訴人及びその代理人松土に対し、工事予定地が更地になれば、右のような特別扱いのあることを説明した上、その場合でも、いずれにしても法五七条の二第一項の届出が必要であることを説明した。

二  原判決一六枚目表一〇行目「原告は」から同裏八行目までを次のとおり改める。

文化庁文化財保護部の担当者は、法五七条の二第二項に基づく指示を法的強制力のある行政処分であると解釈しており、文化財保護行政の中においても当事者に対し任意の協力を求めるべきものを法的義務として強制することが慣例化している。本件においても、本件土地の発掘調査及びその費用分担について控訴人の任意の協力を求める趣旨であることの説明が全くなされておらず、むしろそれが法律上の強制力をもつて義務付けられているものと受けとめざるを得ない行政指導が行われ、しかも、控訴人には本件土地について発掘調査の能力がなく、発掘調査は遺跡調査会に委託する以外に方法がない旨の指導がなされた。そして、本件土地は当時既に工事のため掘削されており、これを長期にわたつて放置することは危険な状態であつたので、工事を続行するためには本件調査委託契約を締結せざるを得なかつたのである。

右のように、本件調査委託契約は控訴人の違法な行政指導により強制されたものである。

理由

一控訴人が東京都府中市馬場東八八八三番の二の土地の一部につき借地権を有し、同土地は、被控訴人が昭和三九年三月三日事業計画決定を行つた土地区画整理事業区域内に存在すること、府中市教育委員会が文化財保護法五七条の四第一項に基づく埋蔵文化財包蔵地(以下、「包蔵地」という。)の周知を計るための措置として昭和五二年七月一日付けで府中市内の建築関係業者に送付した府中市遺跡地図(以下、「旧地図」という。)によれば、前記借地の仮換地にあたる本件土地は包蔵地の範囲外であつたこと、控訴人が株式会社竹中工務店に対し本件土地内において建物を建て替える工事(以下、「本件工事」という。)を請け負わせたこと、控訴人は昭和五三年八月三〇日午後府中市教育委員会職員から本件工事については発掘届出が必要であると言われ、そのころ発掘届出を行つたこと、本件工事が同年同月末から同年一二月六日まで発掘調査のため中断されたこと、控訴人は、府中市長が会長をしていた府中市遺跡調査会との間に発掘調査の委託契約を締結し、同調査会に調査委託費として一一六万二〇〇〇円を支払つたことはいずれも当事者間に争いがない。

二右争いがない事実に<証拠>を総合すると、次の事実を認めることができる。

1埋蔵文化財の保護行政は、第一次的には、埋蔵文化財を現状のままで保存していくことを目的として行われており、埋蔵文化財の包蔵地を一般に周知させるとともに、包蔵地において開発事業などの土木工事が行われる場合には、事業計画を変更して埋蔵文化財を現状のまま残すように協力を求め、それができない場合には、埋蔵文化財保護の最低限の措置として、埋蔵文化財を記録して保存しておくための発掘調査を行うこととされている。

右発掘調査は、文化庁長官が、文化財保護法五七条の二第二項に基づく指示として、当該包蔵地において事業を行う者に行わせているが、発掘調査には専門的な知識経験が必要であるところから、実際には、事業者が地方公共団体あるいはその付属団体に右調査を委託するのが一般的である。

そして、右調査に要する費用は、原因者負担の見地から当該事業者の負担とされているが、個人あるいは零細な企業が自己の用に供する建物を建築するような場合には通常地方公共団体が負担することとされている。

2府中市内には石器時代の遺跡が多数存在し、その埋蔵文化財の保護については、おおむね右1のような取扱により行われていた。

すなわち、府中市教育委員会は、昭和五二年七月、府中市内の埋蔵文化財包蔵地を周知させるため、その範囲を示した府中市遺跡地図(以下、「旧遺跡図」という。)を同市内の建築関係業者に送付するとともに、周知の埋蔵文化財包蔵地に係る開発、建築計画を策定する場合には、遺跡を公園、庭園に当てるなどして遺跡の現状保存を図るように協力して欲しい旨、やむを得ない事情により現状保存ができない場合には、精密な事前発掘調査を行つて記録を作成するとともに、その費用は事業者において負担して欲しい旨を記載した説明文書を送付し、埋蔵文化財の保護に関する前記のような取扱に協力するように要請していた。

また、当時、府中市においては、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事などの目的で発掘しようとする者が文化財保護法五七条の二第一項の届出に必要な書類を準備中であるとき、あるいは試掘の結果によっては工事を中止、変更する考えがあるときなどには、工事事業者の便宜のための特別の扱いとして、発掘届出前に、府中市教育委員会職員立会いの下に事業者側において当該工事予定地内の一部を掘削して遺跡の有無を確認し、発掘調査(本調査)の要否及びその必要の程度を判断するための試掘調査(発掘調査よりも費用が安く、待ち時間も短い。)を実施することを認めていた。

なお、前記旧遺跡図の説明書には包蔵地の範囲の変更があり得ることが記載されており、府中市教育委員会は、同年一二月、包蔵地の範囲を拡大し、昭和五三年一月三〇日までには右拡大後の遺跡地図(以下、「新遺跡図」という。)を作成して関係窓口に備え付けた。

3控訴人は、府中駅前に日開企業ビル(建築主は、控訴人の娘の正宗敏子が代表者である有限会社日開企業)及び本件土地上に青葉ビル(賃貸用の鉄筋コンクリート造三階建店舗兼事務所兼共同住宅延べ面積四三九・〇四平方メートル以下、「本件ビル」という。)の建築を計画し、その設計及び建築手続を松土行男(一級建築士以下、「松土」という。)に依頼した。

松土は、府中市教育委員会から前記2の旧遺跡図及び説明文書の送付を受けていたので、昭和五三年二月六日、日開企業ビル建築の件について府中市教育委員会埋蔵文化財業務担当主幹保谷廣三(以下、「保谷」という。)と相談し、その際、本件ビルの建築計画についても触れたところ、保谷は、本件土地も包蔵地に含まれるので、発掘届出が必要であることを示唆した。

4そこで、松土は、本件土地についても発掘届出をしようと考え、控訴人に相談したところ、控訴人から本件土地は周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれていないと指摘され、旧遺跡図を確認したところ、控訴人の指摘どおりであつたので、右両名は、同年同月一〇日、府中市教育委員会に赴き、保谷に対し右の点を質したところ、保谷から、前記2のように包蔵地の範囲が拡大された結果、本件土地が包蔵地に含まれるようになつたとの説明を受け、本件土地が包蔵地内にあることを初めて知るに至つた。

その当時、本件土地上には、建物が存在していたので、本件ビルの建築工事は右建物の除去後に予定されていたところ、保谷は控訴人に対し、本件土地が更地になれば、前記2の試掘調査の方法があることを説明したが、控訴人及び松土は、保谷の右説明を聞いて、本件土地は、旧遺跡図の包蔵地に含まれていなかつたところから、過渡的な措置として、建築工事に着手した後に遺跡が出た場合に発掘届出をすればよいとの特別の取扱いを認めてくれたものと理解し、昭和五三年八月三日、竹中工務店に発注して本件土地上の旧建物の解体工事を行い、同年同月二九日、発掘届出をしないで本件土地の掘削を始めた。

もっとも、控訴人は、本件工事に当たり、発掘届出を免れたいとか、発掘調査費用の負担を免れたいとの考えがあつたわけではなく、本件工事に着手した後に遺跡が出た場合には、その段階で発掘届出をする意思を有していたものであり、その場合には、発掘調査のため建築工事が三か月くらい中断されることを予想していた。

5府中市教育委員会職員は、昭和五三年八月三〇日、本件土地が本件ビルの基礎工事のため深さ二・七メートルまで掘削された時点で、本件土地については遺跡の発掘調査が必要であるから工事を中止して発掘届出をするよう工事現場の監督者に要請した。

松土は、同日、右要請のあつたことを知り、これに応じて本件工事を中止し、直ちにその旨を控訴人に連絡するとともに、府中市教育委員会に赴いて発掘届出の書類の交付を受け、同年同月三一日、本件土地について文化財保護法五七条の二第一項の発掘届出を行つた(控訴人は右届出を行うことを了解していた。)。

6控訴人は、同年九月二八日、被控訴人から、埋蔵文化財発掘調査の委託契約書のひな型を受け取り、その内容を検討した上、同年一〇月一二日、府中市遺跡調査会との間に発掘調査の委託契約(委託金額一一六万二〇〇〇円)を締結した。

なお、控訴人は、前記のように本件土地を深さ二・七メートルまで掘り下げ、その掘削壁の間ぎわに隣接建物が存在していたため、その状態を長期間放置することは危険であると考えていたところ、右調査委託契約書の条項によると、府中市遺跡調査会は、控訴人が発掘調査によつて受けた損害について責任を負わないとされていたため、右の点を懸念し、本件土地の発掘調査を早期に完了してもらうため、控訴人が別途に発掘調査を委託していた日開企業ビル建築工事関係の発掘調査の人員を本件土地の発掘調査に振り向けるように申し入れ、その結果、本件土地の発掘調査期間は同年同月一五日から同年一一月三〇日までと合意された。

しかるに、右発掘調査は右期間内に完了せず、前記の危険な状態が長引きそうな状況であつたため、控訴人は被控訴人に対し発掘調査の促進方を申し入れ、同年一二月六日右発掘調査が完了した。

以上の事実を認めることができ、原審証人保谷廣三及び当審証人雪田孝の各証言中、右認定に反する部分は採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

三控訴人は、本件土地が包蔵地に含まれていたのであれば、府中市教育委員会担当職員は、控訴人が本件ビル建築計画を有していることを知つたときに発掘届出についての行政指導を行い、本件工事の着手を事前に抑制すべきであつたと主張するが、文化財保護法五七条の二第一項によれば、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事のため発掘しようとする者は、行政指導を待つまでもなく、発掘届出をなすべきことが法律上義務付けられており、前記認定事実によれば、控訴人及び控訴人から建築関係手続の委任を受けていた松土は本件土地が埋蔵文化財包蔵地に含まれていること及びその場合には発掘届出の法的義務のあることを知つていたものと認められるので、府中市教育委員会担当職員が控訴人主張のように発掘届出の指導を行わなかつたからといつて、右担当者の不作為を責めることはできない。

また、控訴人は、府中市教育委員会担当職員が発掘調査は不要であるとの誤つた指導をなしたと主張するが、前記認定事実によれば、府中市教育委員会担当職員は前記認定のような試掘調査の説明をしたものであり、発掘調査は不要であるとの誤つた指導を積極的に行つたものと認めることはできないので、控訴人の右主張を採用することはできない。

四次に、控訴人は、府中市教育委員会が本件工事の停止を命じたことが違法であると主張するが、前記認定事実によれば、府中市教育委員会は、事実上の措置として任意の停止を求め、控訴人は右要請に応じて任意に本件工事を停止したものと認めるのが相当であり、本件全証拠によるも、府中市教育委員会が本件ビル建築工事の停止を強制的に命令したとの事実を認めることはできない。

控訴人は、文化財保護法五七条の二第二項の指示には土木工事の停止は含まれないから土木工事の停止を求めるような行政指導は許されないと主張するようでもあるが、同項の指示は、土木工事による発掘の届出があつた場合に、土木工事の続行を前提として埋蔵文化財の保護上特に必要な事項を指示するものと解されるものの、本件の場合のように、発掘届出をなさずに工事に着工したような場合には、とりあえず発掘届出の提出をうながすとともに、発掘届出提出後に必要な事項の指示を行うべく、その間一時的に工事の停止を求めることは、埋蔵文化財の保護上当然許されるべき措置であると認められるので、このような場合に工事の一時的停止を指導することは何ら違法ではない。

五次に、控訴人は、府中市教育委員会の指導により府中市遺跡調査会と発掘調査の委託契約を締結することを強制されたと主張するが、前記認定事実によれば、控訴人は、右契約締結を強制されたわけではなく任意に右委託契約を締結したものと認めるのが相当であり、右委託契約の締結に当たり、被控訴人が控訴人に対し、右委託契約の締結及びこれに伴う発掘調査費の負担についてあくまで任意の協力を求める趣旨であることを告知しなかつたとしても、このことをもつて直ちに被控訴人が発掘調査費用の負担を実質的に強制したものということはできず、本件全証拠によるも、右強制の事実を認めることはできないので、控訴人の右主張を採用することはできない。

六控訴人は、国民に財産的出捐(発掘調査費用の負担)をさせるような行政指導は誤りであると主張するので、この点について判断する。

埋蔵文化財が、わが国の歴史、文化などの正しい理解のために欠くことのできない貴重な国民的財産であり、これを公共のために適切に保存すべきものであることはいうまでもないところであり、このような見地から、埋蔵文化財包蔵地の利用が一定の制約を受けることは、公共の福祉による制約として埋蔵文化財包蔵地に内在するものというべきである。文化財保護法は、埋蔵文化財包蔵地に内在する右のような公共的制約にかんがみ、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事を行う場合には発掘届出をなすべきことを義務付けるとともに、埋蔵文化財の保護上特に必要がある場合には、届出に係る発掘に関し必要な事項を指示することができることを規定しているものであり(同法五七条の二)、右の指示は、埋蔵文化財包蔵地の発掘を許容することを前提とした上で、土木工事等により貴重な遺跡が破壊され、あるいは遺物が散逸するのを未然に防止するなど埋蔵文化財の保護上必要な措置を講ずるため、発掘者に対して一定の事項を指示するものであつて、埋蔵文化財包蔵地における土木工事によつて埋蔵文化財が破壊される場合には、埋蔵文化財の保存に代わる次善の策として、その記録を保存するために発掘調査を指示することは埋蔵文化財保護の見地からみて適切な措置というべきである。したがつて、右のような発掘調査の指示がなされることによつて、発掘者がある程度の経済的負担を負う結果になるとしても、それが文化財保護法の趣旨を逸脱した不当に過大なものでない以上、原因者たる発掘者において受忍すべきものというべきである。

そして、右の負担が文化財保護法の趣旨を逸脱した不当に過大なものであるか否かは、当該埋蔵文化財の重要性、土木工事の規模・内容、調査に要する費用の額、発掘者の負担能力、開発による利益の有無程度及び負担者の承諾の有無など諸般の事情を総合して判断すべきものと解されるが、前記認定事実によれば、控訴人は本件土地の発掘調査をすることを了解し、任意に府中市遺跡調査会と発掘調査の委託契約を締結したものであり、本件ビル建築計画の規模・内容、調査に要する費用の額、控訴人の負担能力などを考え併せると、府中市教育委員会が控訴人に対し本件土地の発掘調査をするように指導したことをもつて、文化財保護法の趣旨を逸脱した不当なものということはできない。

なお、控訴人は、国民に財産的出捐を負わせる場合には法律に定める根拠が必要であるところ、文化財保護法には国民が文化財保護の費用を負担すべきことを定める規定が存在しないと主張するが、前記認定事実によれば、府中市教育委員会は控訴人に対し直接金銭の負担を要求したものではなく、発掘調査をなすべきことを指導し、控訴人は右指導に応じて任意に府中市遺跡調査会との間で発掘調査に関し費用の負担を伴う委託契約を締結したものであり、府中市教育委員会が右のような指導をなし得ることは前述したとおりであるから、控訴人の右主張を採用することはできない。

また、控訴人は、被控訴人は文化財保護法九八条の二第五項により国の補助を得て自らの負担で発掘調査をすることができるから、発掘調査費用を控訴人に負担させるべきではないと主張するが、同項は、地方公共団体が同条一項に基づきその独自の判断により埋蔵文化財の調査をする場合のことを規定したものであるところ、地方公共団体が右調査を行うか否かは地方公共団体の裁量に委ねられているものと解される。しかも、同法五七条の二第二項の指示に基づく発掘調査は、控訴人主張の右発掘調査とは別個のものであり、土木工事による発掘などにより埋蔵文化財の発掘調査を行わなければならない原因を生じさせた者がある場合に、地方公共団体が右原因者に代わつて右調査をしなければならない義務があるとすることはできない。したがつて、控訴人の右主張を採用することはできない。

さらに、控訴人は、被控訴人は本件土地を含む事業区域について土地区画整理事業を施行していた者であるから、同法五七条の三の運用により事前に発掘調査をした上で本件土地を引き渡すべきであつたと主張するが(本件土地が被控訴人施行の土地区画整理事業区域内に存在することは当事者間に争いがない。)、埋蔵文化財包蔵地を事業区域とする土地区画整理事業の施行者が換地処分あるいは仮換地処分をする場合に、当然に換地あるいは仮換地について埋蔵文化財の発掘調査をなすべき義務があると解することはできないので、控訴人の右主張を採用することはできない。

以上により、本件発掘調査に関する被控訴人の行政指導ないし対応措置に違法が認められない以上、右違法の存在を前提とする控訴人の本件請求は、その余の判断をまつまでもなく理由がないので、これを棄却すべきであり、これと同趣旨に出た原判決は相当であつて、本件控訴は理由がない。

よつて、本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官森 綱郎 裁判官高橋 正 裁判官清水信之)

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